ゴッホ「ひまわり」を何も調べずに見てみた|中央の花と花瓶の文字が気になった

ひまわり 西洋の名画

名画と言えば、ゴッホの「ひまわり」は有名な作品の一つだと思います。
そこで今回は、ゴッホの「ひまわり」を選んで見てみることにしました。
ただし、最初から作者や制作された背景を調べるのではなく、まずは作品だけを見ます。
美術について詳しいわけではありません。作品を見ながら、自分の目にどこが入るのか、何が気になるのか。そのあと作品について調べ、もう一度見てみることにしました。

ひまわり

1. 黄色い明るさの中で気になった、ひまわりらしくない花

最初に感じたのは、やはり黄色い絵だなということでした。

ひまわりが描かれているので黄色が多いのは当然なのかもしれませんが、全体からは、ひまわりらしい明るい感じを受けます。

その一方で、少し不思議に感じたところもありました。

画面の中央あたりを見ると、私が普段思い浮かべているひまわりとは、かなり違って見える花があります。

「これは本当にひまわりなのだろうか」

最初に見たとき、そこが気になりました。

上のほうの花を見ると、こちらは私がイメージするひまわりに近い形をしています。そのため、中央部分の花が余計に気になりました。

2. 最初に目を引いた、中央のひまわりらしくない花

この作品で最初に目が行ったのは、画面の中央部分でした。

「ひまわり」という題名なので、当然すべてひまわりなのだろうと思って見ています。しかし中央には、私にはひまわりとは思えないような形に見える花があります。

上のほうには花びらが広がった、ひまわりらしい花があります。それと比べると、中央付近の花はかなり違います。

品種が違うのでしょうか。それとも、同じひまわりでも何か別の状態なのでしょうか。

この時点では作品について何も調べていないので、答えは分かりません。

ひまわり

3. 見ているうちに気になった、下向きの花と黒っぽいひまわり

しばらく眺めていると、中央以外にも気になるところが出てきました。

まず、下向きになっているひまわりがあります。

私は、上や横を向いて花を広げているひまわりを思い浮かべるため、この下向きの花はあまり好きな感じではありませんでした。

もう一つ気になったのが、左側にある黒っぽくなった花です。

黄色く大きく開いている花とはかなり違います。

これも本当にひまわりなのでしょうか。

最初は全体の黄色さと中央部分に目が行きましたが、見ているうちに、それぞれの花の形や向きも気になるようになりました。

4. ひまわりらしくない花と、花瓶の文字の正体が気になった

まず知りたくなったのは、中央付近にある、ひまわりらしく見えない花についてです。

品種が違うのでしょうか。それとも、ひまわりが咲いてから時間がたつと、このような姿になるのでしょうか。

左側の黒っぽくなっている花も気になります。

そして、もう一つ目に留まったのが花瓶の文字でした。

最初は画家のサインではないかと思いました。

ところが、ゴッホの作品なのに、私には「Gogh」とは読めません。

いったい何と書いてあるのでしょうか。

ここでいったん鑑賞を止め、この作品について調べてみることにしました。

5. 調べて分かった「ひまわり」の制作背景と、花瓶に残された「Vincent」のサイン

今回見ている「ひまわり」は、フィンセント・ファン・ゴッホが1888年8月に南フランスのアルルで描いた油彩画です。大きさは92×73センチ。現在はバイエルン州立絵画コレクションのノイエ・ピナコテークに属しています。公式資料では「Sunflowers(Sonnenblumen)」として登録されています。

1. 「ひまわり」は1枚だけではない

調べて分かったのは、有名なゴッホの「ひまわり」は1枚だけではないということでした。

ゴッホは1888年から1889年にかけて、花瓶に入ったひまわりを複数制作しています。今回のミュンヘン版は、1888年8月に描かれた最初の4点のうちの一つで、「14輪のひまわり」として紹介されています。

当時ゴッホはアルルで生活し、画家ポール・ゴーギャンを迎えて一緒に制作しようとしていました。所蔵館は、この作品がアルルのアトリエを飾る目的で制作されたことを説明しています。ミュンヘン版とロンドンのナショナル・ギャラリー版は、ゴッホが対になる作品として考えていた重要な2点でもあります。

2. 黄色と背景の色

最初の鑑賞では「全体的に黄色い」と感じました。

所蔵館の解説によると、この作品では背景の冷たいターコイズ系の色が、花の黄色や黄褐色をより強く見せています。また、花瓶や花、背景などを平面的に表す構成や強い色彩には、日本の版画からの影響も指摘されています。

3. ひまわりらしく見えなかった花

最初に不思議だったのは、中央や左側の花でした。

ゴッホの「ひまわり」では、きれいに開いた花だけが描かれているわけではありません。ナショナル・ギャラリーの解説では、つぼみに近いものから満開の花、花びらが落ち始め種ができているものまで、異なる段階のひまわりが描かれていると説明されています。

ただし、今回のミュンヘン版にある一つ一つの花について、「この花は何日目」「これは別品種」といったところまでは、確認した資料では特定できませんでした。

4. 花瓶に書かれていたのは「Vincent」

もう一つ気になった花瓶の文字は、やはりゴッホのサインでした。

ただし、書かれているのは「Gogh」ではなく、「Vincent」です。

ナショナル・ギャラリーも、ミュンヘン版とロンドン版にはファーストネームの「Vincent」で署名されていると説明しています。ゴッホ自身も1888年の弟テオ宛ての手紙で、自分の姓は現地の人には発音しにくいため、絵に署名するのと同じ「Vincent」を作品目録でも使ってほしいと書いています。

6. 調べてから見直して気づいた、花びらの違いと右側の緑の茎

作品について調べてから、もう一度「ひまわり」を見ました。

最初に変わったのは、ひまわりは、きれいに花が咲いている状態だけが描かれているわけではないと考えるようになったことです。

最初は「ひまわりとは思えない」と感じた中央部分も、今度は「花びらが落ちた状態なのだろうか」と見るようになりました。

一方、全体的に黄色いという最初の印象は変わりません。

そして、二度目に見たとき、新しく気になった場所がありました。

画面の右側に、緑色の茎のようなものがあります。見ていると、一本だけ花瓶に入っていないようにも見えます。

最初の鑑賞では気づかなかった部分でした。

ひまわり

7. 分かった「Vincent」のサインと、まだ残るひまわりの疑問

調べて「なるほど」と思ったのは、花瓶のサインでした。

「ゴッホの作品なのにGoghとは読めない」と思っていた文字が「Vincent」だと分かり、最初の疑問には答えが出ました。

一方で、まだ腑に落ちていないこともあります。

異なる状態のひまわりが描かれていることは分かりました。しかし、この一枚で、ひまわりが咲いてから枯れるまでを描こうとしたのだろうかという疑問は残っています。

資料からは、異なる生育段階の花が描かれていることまでは確認できますが、それを時間の流れとして意図的に並べた作品だとまでは断定できません。

分からないところを無理に答えにせず、もう少し作品を見て考えてみてもよさそうです。

8. 見方が変わって感じた、ひまわりの生命力

最初に見たときより、この「ひまわり」が好きになりました。

最初は、中央のひまわりらしくない花や、下を向いた花、黒っぽい花が気になっていました。

しかし、調べてから見ると、満開の花だけではなく、花びらが落ちていくような姿も含まれていることが分かりました。

もう一度全体を眺めて、最後に感じたのは「ひまわりの生命力」でした。

きれいに咲いている花だけを見るのではなく、さまざまな状態の花が一つの花瓶に集まっている。そのことを知ってから見たことで、最初とは少し違った見方をするようになりました。

まとめ

ゴッホの「ひまわり」を何も調べずに見たとき、最初に気になったのは中央にある、ひまわりらしく見えない花でした。

その後、作品について調べると、ゴッホが「ひまわり」を何枚も描いていたことや、花には異なる状態が描かれていること、花瓶の文字が「Vincent」というサインだったことが分かりました。

もう一度作品を見ると、中央の花についても「花びらが落ちた状態なのだろうか」と考えるようになり、最初には気づかなかった右端の緑色の茎にも目が行きました。

そして最終的には、最初よりこの作品が好きになり、「ひまわりの生命力」を感じました。

作品について何も知らずに見るのと、少し調べてからもう一度見るのとでは、同じ絵でも目に入る場所が変わることがあります。

同じ作品でも、人によって気になる場所や感じ方は違うかもしれません。気になった方は、ゴッホの「ひまわり」をゆっくり眺めてみるのも面白いと思います。


作品・画像情報

作品名: ひまわり(Sunflowers/Sonnenblumen)
作者: フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年: 1888年
所蔵先: バイエルン州立絵画コレクション・ノイエ・ピナコテーク(ミュンヘン)

画像素材:
「センペンバンカ 世界&日本の名画コンプリートセット Win&Mac版」収録画像

収録元:
センペンバンカ 世界の名画606

画像加工:
作品全体画像は縦横比を維持して掲載。
アイキャッチ画像・本文中の部分画像は必要に応じてトリミングして使用。

参考にした主な資料

Bayerische Staatsgemäldesammlungen / Pinakotheken
「Vincent van Gogh, Sunflowers, 1888」
制作年、サイズ、所蔵先、制作背景、色彩や構成を確認。
Pinakotheken「Sunflowers」作品ページ

The National Gallery, London
「Vincent van Gogh | Sunflowers」
連作の構成、ミュンヘン版、署名などを確認。
National Gallery「Sunflowers」

Van Gogh Museum / Van Gogh Letters
ゴッホが「Vincent」と署名したことに関する資料と、1888年3月25日のテオ宛て書簡を確認。
Van Gogh Letters 589