フェルメール《真珠の耳飾りの少女》を見た感想|最初は少年に見えた

西洋の名画

今回見たのは、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》です。

この作品はテレビで何度か見たことがあり、そのたびに印象に残っていました。

作品名と絵そのものは知っていましたが、どのような作品なのかは詳しく知りません。そこで最初は説明を読まず、自分の目だけでじっくり見てみることにしました。

1. 最初の印象は「少女」よりも「少年」だった

最初に作品全体を見たとき、意外にも「少年のように見える」と思いました。

題名には「少女」とありますが、作品について何も知らない状態で顔を見たときの第一印象は少年でした。

画面全体を見ると、顔の部分だけが明るく、そのほかはかなり暗く感じます。その暗い中に、顔と濃い黄色の衣服が浮かび上がっているように見えました。

顔の中で好きだと思ったのは眼差しです。

こちらを見ているような目が印象に残りました。

2. 最初に気になったのは赤く見える口元

最初に目が行ったのは、目ではなく口元でした。

唇が少し開き、その間に歯のような部分が見えます。ただ、その歯が白ではなく、少し赤く見えました。

「歯が赤いように見える」と気になり、口元を何度か見直しました。

そのあとで目を見ると、こちらを向いた眼差しが気になりました。

目も口も顔の中では目立ちますが、最初に私の目に入ったのは口元でした。

3. 大きな真珠と、見えない眉毛・まつ毛が気になった

しばらく眺めていると、耳に付いている真珠がかなり大きいことにも気づきました。

顔と比べて見ると、「こんなに大きな真珠があるのだろうか」と思うほどです。

もう一つ気になったのが眉毛でした。よく見ても眉毛がほとんど見えません。

さらに目の周囲を見ると、まつ毛もないように見えます。

最初はそこまで気にしていませんでしたが、一度気づくと、眉毛とまつ毛が見えないことが気になってきました。

4. 眉毛やまつ毛はなぜ見えないのだろう

一番知りたいと思ったのは、眉毛とまつ毛についてでした。

フェルメールが描いた17世紀ごろには、女性が眉毛やまつ毛を処理する習慣があったのでしょうか。

大きすぎるように見えた真珠が本物なのかも気になります。

そして最初に目に入った口元では、なぜ歯の部分まで赤く見えるのでしょうか。

このあたりを中心に調べてみることにしました。

5. 調べて分かった《真珠の耳飾りの少女》の特徴

《真珠の耳飾りの少女》は、オランダの画家ヨハネス・フェルメールが1665年ごろに描いた油彩画です。大きさは44.5×39センチで、現在はオランダ・デン・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵しています。

調べてまず分かったのは、この作品が普通の意味での肖像画ではなく、「トローニー」と呼ばれる絵だということでした。

トローニーは特定の人物の顔を正確に記録する肖像画ではなく、人物のタイプや表情、特徴的な衣装などを描いた人物像です。少女が巻いているターバンも、17世紀のオランダ女性の日常的な服装ではありませんでした。

真珠については、マウリッツハイス美術館も本物にしては大きすぎるとしており、ガラス製の模造真珠などの可能性を挙げています。しかも細かく輪郭まで描かれているわけではなく、主に白い絵の具による光の表現で真珠らしく見せています。

そして、最初に気になったまつ毛については意外なことが分かりました。

肉眼ではほとんど見えませんが、2018年の科学調査によって、両目の周囲に細いまつ毛が描かれていることが確認されています。一方、マウリッツハイス美術館の研究解説では、眉毛は描かれていないと説明されています。

当時の女性が眉毛を処理していたからこのように描かれたのかについては、今回確認した資料だけでは断定できません。2026年には、美容習慣や絵画表現を考える必要があるとする研究上の議論も出ていますが、作品がトローニーであることも含めて考える必要があります。

口元についても調査結果がありました。フェルメールは唇の赤い透明な絵の具を歯の部分へわずかに重ねており、科学調査でも赤色が歯にかかっていることが確認されています。

「歯が赤く見える」という最初の印象は、単なる見間違いではなかったようです。

6. もう一度見ると、耳と真珠がつながっていないことに気づいた

作品について調べてから、改めて少女の顔を見ました。

まず思ったのは、もし眉毛やまつ毛が普通にはっきりと描かれていたら、ごく普通の肖像画のように見えて、私にはこれほど印象が残らなかったかもしれないということです。

実際にはまつ毛が細く描かれていることが調査で分かっていますが、普通に作品を見る限り、やはりほとんど見えません。

一方、作品について知っても変わらなかったのは、表情が明るく見えることでした。

そして、もう一度見たことで新しく目に入ったのが、耳と真珠の間です。

調べる前は真珠そのものの大きさばかりを見ていましたが、調べたあとでは、耳から真珠につながる金具が描かれていないことに気づきました。

マウリッツハイス美術館の科学調査でも、真珠を耳から吊り下げるフックは描かれていないことが確認されています。

最初に気になった口元も、もう一度見ました。

やはり私には歯が赤く見えます。

調べたことで最初の見え方が訂正されたというより、「やはり赤く見えていたのだ」と確認する形になりました。

7. 「トローニー」と知って、なるほどと思った

今回、特に「なるほど」と思ったのは、この作品がトローニーだと知ったことです。

私は最初、この少女を普通の肖像画として見ていました。

しかし、特定の人物を正確に描くことを目的とした肖像画ではないと知ると、ターバンや非常に大きな真珠、細部をはっきり描いていない顔などを一つの人物像として見ることができます。

ただし、作品について調べたからといって、すべてに明確な答えが出たわけではありません。

特に眉毛が見えないことについては、当時の習慣だけを理由に説明できるわけではないようです。

8. 違和感は残るが、最後には「少女」に見えてきた

この作品について調べる前と後で、好きかどうかは変わりませんでした。

最初に見たときは「少年のように見える」と思いました。

もう一度見た今は、多少の違和感は残っていますが、少女として見るようになりました。

一方で、眼差しや口元、眉毛の見え方など、この顔には普通の人物像とは少し違うところがあります。

眉毛やまつ毛が普通にはっきり描かれていたら、私にはこれほど印象に残らなかったかもしれません。

まとめ

《真珠の耳飾りの少女》を何も調べずに見たとき、私が最初に感じたのは「少年のように見える」ということでした。

口元の赤く見える歯、大きな真珠、見えない眉毛やまつ毛も気になりました。

調べてみると、この作品は一般的な肖像画ではなくトローニーであり、まつ毛は肉眼では分かりにくいほど細く描かれていました。また、真珠には耳につながる金具そのものが描かれていませんでした。

作品について知ったあとも好き嫌いは変わりませんでしたが、最後には多少の違和感を残しながらも、「少女」として見るようになりました。

同じ作品でも、人によって最初に目に入る場所や感じ方は違うと思います。気になった方は、顔だけでなく口元や目元、真珠までゆっくり眺めてみるのも面白いと思います。


作品・画像情報

作品名: 真珠の耳飾りの少女
作者: ヨハネス・フェルメール
制作年: 1665年ごろ
所蔵先: マウリッツハイス美術館(オランダ・デン・ハーグ)

画像素材:
「センペンバンカ 世界&日本の名画コンプリートセット Win&Mac版」収録画像

収録元:
センペンバンカ 世界の名画606

画像加工:
作品全体画像は縦横比を維持して掲載。
アイキャッチ画像・本文中の部分画像は必要に応じてトリミングして使用。

参考にした主な資料

マウリッツハイス美術館「Girl with a Pearl Earring」では、制作年、サイズ、トローニー、真珠などの基本情報を確認しました。
マウリッツハイス美術館・作品ページ

マウリッツハイス美術館「Closer to Vermeer and the Girl」では、2018年の科学調査、まつ毛、真珠の構造などを確認しました。
マウリッツハイス美術館・科学調査ページ

npj Heritage Science「Beauty is skin deep」では、まつ毛や口元、歯に重なる赤い絵の具などの科学分析を確認しました。
npj Heritage Science 論文