フェルメール《牛乳を注ぐ女》の感想|青と黄色、写真のような生活の一場面

牛乳を注ぐ女 西洋の名画

前回に続いて、今回もフェルメールの作品から選びました。

今回見たのは《牛乳を注ぐ女》です。作品については何も調べず、まず絵だけを見てみました。

最初に感じたのは、色が鮮やかできれいだということでした。女性の服に使われている黄色と青色を見ていると、前回見た《真珠の耳飾りの少女》と、どこか似ているようにも感じます。

そのため最初は、「《真珠の耳飾りの少女》のお母さんかな」などと思いながら眺め始めました。

今回は、最初に自分がどう見たのかを残し、作品について調べたあとでもう一度見て、印象がどう変わったのかを記録します。

牛乳を注ぐ女

1. 鮮やかな黄色と青色が目に入った

最初に見たときに印象に残ったのは、鮮やかな色でした。

特に女性の服の黄色と青色が目に入ります。《真珠の耳飾りの少女》にも黄色や青色が使われていたためでしょうか。作品そのものは違いますが、何となく似た色合いのように感じました。

そして女性の顔を見ていて、

「《真珠の耳飾りの少女》のお母さんかな」

と思いました。

もちろん、この段階では作品について何も調べていません。単純に絵を見て浮かんだ印象です。

もう一つ気になったのが眉毛です。この女性も、《真珠の耳飾りの少女》と同じように、眉毛がないように見えました。

2. 牛乳を注ぐつぼと写真のような机

最初に目が行ったのは、女性が牛乳を注いでいるつぼでした。

女性は赤茶色のつぼを両手で持ち、そこから下の器へ牛乳を注いでいます。

そのあと目に入ったのが、机の上です。パンや器などが置かれていますが、この部分を見て特に感じたのが「写真みたいだな」ということでした。

パンや器の質感まで細かく描かれていて、私はこの机の上の部分が気に入りました。

牛乳を注ぐ女

3. 床にある四角い物は何だろう

少し長く見ていると、女性や机とは別の場所にも目が行きました。

特に気になったのが、画面右下の床に置かれている四角い物です。

最初は気づきませんでしたが、よく見ると小さな箱のような物があります。

「これは何だろう」

と思いました。

料理に使う物なのか、暖房のような物なのか、それともまったく別の道具なのか。この段階では分かりませんでした。

4. パンと牛乳で何を作っているのか

一番知りたくなったのは、女性が何を作っているのかということでした。

机の上にはパンがあり、女性は牛乳を器へ注いでいます。

パンと牛乳を見ると、私は最初に朝食を思い浮かべました。しかし牛乳をコップではなく、鍋のような器へ注いでいます。

このあと何を作るのでしょうか。

もう一つ知りたかったのが、床の四角い物です。

そこで今回は、「女性は何を作っているのか」「床の四角い物は何なのか」を中心に調べてみました。

5. 台所で働く女性と足温器

《牛乳を注ぐ女》は、ヨハネス・フェルメールが1660年頃に描いた油彩画です。大きさは縦45.5センチ、横41センチ。現在はオランダ・アムステルダムのアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)が所蔵しています。

描かれている女性について、同館は「maidservant(女性使用人)」と説明しています。牛乳を運ぶ女性というより、室内で家事や台所仕事をしている女性です。

気になっていた料理については、パンが多く描かれていることから、乾いたパンを牛乳に浸して作るパンプディングのような料理を作っている可能性が指摘されています。ただし、料理名まで確定しているわけではありません。

床にあった四角い物は足温器(foot stove)でした。中に炭を入れ、足元を暖めるための道具です。

さらに近年の調査では、フェルメールが最初、右下にもっと大きな「火籠」を描き、その後で塗りつぶして、現在見える足温器やタイルに変更したことも分かっています。女性の背後にも、当初は水差しを掛ける棚が描かれていました。

また、机のパンや籠には小さな明るい点を重ねる描き方が使われ、光や物の表面の質感が表現されています。

最初に思った「《真珠の耳飾りの少女》のお母さんかな」という点については、二人を親子とする根拠は確認できませんでした。《真珠の耳飾りの少女》自体も特定人物の肖像ではなく、「トローニー」と呼ばれる人物表現で、モデルの身元は分かっていません。

6. 腕と手が気になった

作品について調べたあと、もう一度見てみました。

今度は、女性の腕から手にかけての部分が気になりました。

私には日焼けしているように見えます。

最初に見たときには特に気にしていなかった部分ですが、「家の中で働く女性、台所仕事をする使用人」と知ってから見ると、この腕や手を見て、働いている女性なのだという印象が強くなりました。

一方で、最初から感じていた「写真みたいにきれい」という印象は変わりませんでした。

机の上のパンや器だけではなく、人物や部屋全体を含めて、細かなところまで写し取った写真を見るような感じがあります。

7. 壁の明るさにも目が行った

もう一度見たとき、新しく目に入ったのが画面右下の壁です。

足温器の上のあたりは明るく見えます。それに対して、さらに下の方は少し汚れているようにも見えました。

牛乳を注ぐ女

調べた資料によると、この付近には当初、大きな火籠が描かれていて、フェルメールが後から塗りつぶしたことが確認されています。

そのため私は、「この壁の見え方も、消した跡と何か関係があるのだろうか」と気になりました。

ただし、現在見えている壁の色むらが、その塗り直しの痕跡そのものなのかどうかまでは、今回確認した資料からは分かりませんでした。

8. 当時の生活の一部を切り取った写真

今回、《牛乳を注ぐ女》について調べたことで、最初よりこの作品が好きになりました。

特に「家の中で働く女性、台所仕事をする使用人」と知ったことは、もう一度作品を見るときの見方に影響しました。

最初は鮮やかな黄色と青色、牛乳を注ぐつぼ、写真のように描かれたパンや器が目に入りました。

調べたあとでは、腕や手、足温器、壁などにも目が行くようになりました。

最後にこの作品を見て感じたのは、「当時の生活の一部を切り取った写真」のようだということです。

まとめ

最初は、鮮やかな黄色と青色や、写真のように描かれた机の上が印象に残りました。

そして、「何を作っているのだろう」「床の四角い物は何だろう」と疑問に思いました。

調べてみると、描かれているのは台所仕事をする女性で、床の四角い物は足温器でした。さらにもう一度見ると、最初には気にしていなかった腕や手、右下の壁にも目が行きました。

同じ作品でも、人によって目に入る場所や感じ方は違うかもしれません。気になった方は、人物だけでなく、机や床、壁までゆっくり眺めてみるのも面白いと思います。


作品・画像情報

作品名: 牛乳を注ぐ女
作者: ヨハネス・フェルメール
制作年: 1660年頃
所蔵先: アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)

画像素材:
「センペンバンカ 世界&日本の名画コンプリートセット Win&Mac版」収録画像

収録元:
センペンバンカ 世界の名画606

画像加工:
作品全体画像は縦横比を維持して掲載。
アイキャッチ画像・本文中の部分画像は必要に応じてトリミングして使用。

参考にした主な資料

Rijksmuseum「The Milkmaid」

Rijksmuseum「Vermeer exhibition texts」

Rijksmuseum「Major discoveries on The Milkmaid」

The Metropolitan Museum of Art「Vermeer’s Masterpiece: The Milkmaid」

Mauritshuis「Girl with a Pearl Earring」